並行治療を行っている患者
歯科医院を受診する患者の中には、驚くべきことに歯科医院を掛け持ちしている人がいます。
一つの歯科医院に通って同じ歯科医師の治療を受けるのが一般的な通院法ですが、中には職場に近いところで受診し、帰宅した時に近所の歯科医院がまだ診療していれば、その時はそちらに来院するという受診の仕方をしているのです。
歯科医師が口腔内を見れば現在治療が進行している途中であることが分かりますので、急性の痛みが出たために来院したと考えますがそうではありません。
そのような患者のほとんどは歯科医院が予約制であろうとなかろうと、自分の来たい時間にアポイントなしで来院するのが特徴だからです。
他に共通点として現場作業であちこちに仕事場を移る仕事をしている人に多く、どこが仕事先になるかによって行きやすい方を選んでいます。
たとえ別の歯科医院で治療を受けている途中であっても、そのような患者は一向に気にすることはないのです。
断ることはできない
本来ならば歯科医院もかかりつけ歯科医を持ち、その歯科医師に全部の治療をしてもらうのがあるべき姿です。
歯科医師によって同じ治療を行っても微妙にやり方が変わりますし、複数個所の治療が必要な場合は処置する順番も大切になります。
しかも歯型を採っている場合、金属をセットしてからでないと噛み合わせの調整がうまくいかないことがありますので、それまでの間に他の歯の治療をしてくれと言われても難しいこともあるのです。
しかし患者がそのことに納得しない場合は、歯科医師が歯の治療をすることを断ることはできません。
そのため処置をしても差支えのない小さな虫歯を処置したり、歯石や歯垢がついている歯のクリーニングを行うぐらいしかできないこともあります。
歯科医院の掛け持ちは、素人が考える以上に歯科医師に迷惑をかける行為なのです。
食い逃げならぬ治療逃げをする患者も
中には治療が終了してから財布を持ってきていないと申告する患者や、持ち合わせがないからと言ってわずかしか支払わずに帰る患者もいます。
このような患者は年々増えており、多くの場合窓口で支払わなくても後の7割分は受け取れるのだからそれでいいと考えているのです。
特に確信犯と思しき患者の場合、大きな金属をセットして金額が上がったときにそのような行為に出ます。
歯科治療では本数の多いブリッジや前装冠をセットした場合、3割負担でも軽く1万円を超えてしまうことがよくあります。
それを知っている患者はそれまでの少額の支払いはきちんと行い、高額の時だけ財布を忘れたふりをしてそのまま二度と来院しません。
当然ながら歯科医院では支払い請求を行いますが、応じない患者も多くいます。