虫歯の関連痛とは?

自分で痛いと思っていた歯は何も異常がなく、意識していなかった別の歯が虫歯になっていると歯医者で指摘されたことはありませんか?人間の痛覚は意外と曖昧であり、実際に炎症を起こしている歯とは別の場所に痛みを感じることが多々あります。このような現象は「関連痛」と呼ばれており、歯以外にもよく見られます。例えば、かき氷を食べるとなぜかこめかみ辺りが痛む現象も関連痛の1つです。人間の身体ではよく関連痛が起こりますが、虫歯の痛みは関連痛が起きやすいと言われています。
上顎の神経と下顎の神経は耳周辺で1つにつながっており、そこに眼の神経を合わせた3つの神経を「三叉神経」と呼びます。三叉神経から枝分かれした上顎の神経と下顎の神経は、しばしば混同されるので、下の歯が痛いと思っていたのに実際の虫歯は上の歯だった、という現象が起こるわけです。下の奥歯1本が虫歯になっているだけの炎症でも、周辺の歯や頬、目の辺りまで痛みを感じることがありますが、同じく関連痛による症状です。
関連痛は簡単に表現すると「脳の勘違い」のような症状なので、一般的にはそこまで気にする必要はありません。しかし、歯の痛みと勘違いしやすいものの中には、帯状疱疹や心筋梗塞、狭心症など早急な治療が必要なものや命に関わる病気が含まれている可能性も稀にあります。歯の原因不明の痛みが長期間続く場合は、適切な医療機関を受診するようにしてください。

虫歯以外が原因の関連痛もある

虫歯以外にも、歯に痛みを感じる関連痛はいくつかあります。例えば、歯を常に強く噛み締める癖やストレス、口呼吸などが続くと歯にも痛みを感じることがあります。この関連痛は「筋・筋膜性歯痛」と呼ばれており、首や肩、顔の筋肉が緊張してこわばってしまっているのが主な原因です。
筋・筋膜性歯痛では明確に痛む部分がありますが、その部分は「圧痛点」と呼ばれています。筋・筋膜性歯痛の治療では神経ブロック注射や抗炎症薬などの投与が行われますが、慢性化している場合は温熱マッサージなどの理学療法が行われることもあります。

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関連痛以外の原因があることも

ケースとしては多くありませんが、関連痛以外にも虫歯がないのに歯が痛むという現象はあります。実際に炎症を起こしていないのに歯に痛みを感じる状態を「非定型歯痛」と呼びます。非定型歯痛は40代以降の女性に多く見られ、歯科治療がきっかけで起こることもあります。非定型歯痛の場合は一般的な鎮痛薬が効かないので、抗うつ薬などの神経遮断薬が用いられます。
他にも、心因性障害の1つである「疼痛性障害」でも、炎症がないにも関わらず歯が痛むケースが見られます。この場合も、抗うつ薬・抗不安薬などの薬物療法や認知行動療法などによって治療が行われます。